PEOPLETHE FORUM 千駄ヶ谷の住人

THE FORUM 千駄ヶ谷ってどんなところ?使い心地は?
実際に施設を利用している多様な住人から
話を聞いてみました。

02 コセリエ FLEX

繋ぐ

02 コセリエ FLEX

繋ぐ

[プロフィール]
コセリエ
フリーランス写真家
ITOPROJECT
HP:https://www.koserie.com/


カメラマン、フォトグラファー、写真家。
「カメラを使った仕事をする人」を指す言葉だが、なぜこれだけ種類があるのか。
それぞれに微妙だが違いはあり、そこに各個人のスタンスが現れる。
 
今回、私は彼女を「写真家」と呼んだ。それは彼女とカメラにストーリーと情熱を感じるから。
 
「繋がり」という言葉をキーワードにし、ここ、THE FORUM sendagayaを拠点とする彼女にフォーカスを当てる。


気づいたら身近にあるもの

彼女は中学生の頃、カメラを持って学校に行っていた。写真を撮るのが当時から好きだったという。
好きなことや物にいちいち理由を求めることが野暮かもしれないが、聞いてみた。
なんでそうしていたのか、なんで写真を撮りたかったのか、それははっきりとは覚えていない。
ただ、カメラを持って行き、好きにシャッターを切る。それが彼女の日常だった。
 
そんな生活は中学に入ってからも続けていた。その内、周りからは「写真を撮ってくれる人」というイメージが定着した。
“写真担当”、彼女自身、そのポジションが生涯の場所だと意識するのはごく自然な流れだったように感じる。



 

自分の道を決める

ずっと写真家になることを意識していたはずが、気がつけば高校は普通に進学していた。
その時に「ずっと写真がやりたいって思っていたのになんでここに立っちゃったんだろうな。」という違和感を感じたという。
この違和感が覚悟になり、両親を説得して、わずか半年でその学校を辞め、美術系の学校に転入した。
ここが写真家コセリエのスタートライン、そして間も無く、その覚悟を聞きつけた近所の写真館から突然電話がかかってくる。
 
「あなた写真やりたいの?」
 
やりたいことを経験できる環境を作るという事は思っているよりも難しく、ましてや仕事として携わるとなれば尚更だ。
それを考えると彼女は非常にラッキーだったようにも思える人もいるだろう。
しかし私は、それは単なるラッキーなどではなく、自分自身の信念と行動が引き寄せた最初の繋がり、これは当然の結果だったのだと思う。
 
「高校を中退する」という事はそう簡単に決断できるはずもなく、多くの人が自分の気持ちよりも人からの見栄えを気にするあまり、足は動かない。
 
それができる、という事自体にすでに価値はあったのだと思う。



 

自分のすべき事

高校生の頃からお世話になっていた写真館に就職が決まり、職業カメラマンとしてのスタートを切った。
百貨店の商品撮影などを行っていたが、彼女が撮りたいのは常に「人」だった。
仕事の傍、自分自身「写真家コセリエ」としての動きは欠かさなかった。
 
多少なり写真を撮ることを仕事にする私にとって、撮りたいもの以外を撮り続けるということがどれほど大変な事かはよくわかる。
 
そもそも、それを続けるなら一番最初の高校中退の意味も揺らいできてしまう。
 
そう思えば彼女が独立の道を選んだのは極々自然なこと。
 
幸い、写真家コセリエとしての動きは常にしていたから、すぐに頼んでもらえる仕事もあった。
それら一つ一つが繋がっていき、現在の彼女がいる。
 
忙しかった。しかし金銭重視で写真を撮ってきていないからお金はなかった。
それでも楽しそうで心の動く仕事は全部やる、それが彼女のスタンスだった。



 

ITO PROJECT

このプロジェクトに写る全ての人に糸を持ってもらう。それらの糸は作品となる時、一本に繋がっていく。年代や場所を問わない。
2010年にスタートして、これまで8年間述べ5000人が参加してきた。
 
写真家コセリエがこの作品を撮り始めたのは父の死、友人の死、その先に身近で感じた、新たな命の誕生。それらに繋がりを感じたから。
 
この大きな世界において命は無造作に繋がりを持ち、一本の線となっている。きっと自分も、そして自分の大切にする人たちも繋がっている。
 
それを自分の人生である写真で表現したかった。
 
これまで人との繋がりを大切に思い、そしてその繋がりに助けられ生きてきた彼女だからこその作品。
 
これまで参加してくれた5000人の方々にも、そしてこれから参加してくれる方々にも、その繋がりを感じてもらいたい。
 
これがこの作品に込められた彼女の思い。
 
現在8年を数えているが10年・20年と、全力で楽しみつつ続けていきたいと彼女は笑顔で語った。



 

これから

現在、彼女は東京と鹿児島を拠点としている。
東京の拠点はここ、THE FORUM sendagaya。たくさんの都市へのアクセスがよく、施設そのものが変化し続ける環境、そして街自体がオリンピックに向け生まれ変わって行く環境がとても刺激になり、気に入っていると話してくれた。
鹿児島は彼女のホームグラウンド。その中でも10年以上前に訪れた甑(こしき)島は毎年夏に必ず訪れているが、行くたびに仲間が増え、まるで家族のように 結びつき、深まっていく。
その十分に溢れるアクティブさが彼女のいう「繋がり」を無数につくりだし、彼女自身を成長させているのだろう。
 
とはいえ、いずれは拠点を構えることを考えているという。
それが東京なのか鹿児島なのか、それ以外なのか、まだ何も決めていないし、まだまだ動き足りないともいう。
 
その時々の衝動に駆られてカメラを片手に旅をする。
昔からあった「写真を撮りたい」という衝動はいまだに冷める事はなく、やめられない。
 
その中で少しずつ掴み続けていく写真家としての自信、これからも続くITO PROJECT、まだ見ぬ新たな取り組み。
 
写真家コセリエという一本の糸は、まだ広がりはじめたばかりなんだろう。
 
THE FORUM sendagayaが彼女にとっての拠点であった。ということがこれから先に我々にとっての財産になる。
 
すでにここTHE FORUM Sendagayaのコンシェルジュと信頼のある関係を築いている彼女を見て、そんなことを感じた。



 

あとがき

写真を撮ることの楽しさってなんだろう。 私自身、初めて一眼レフを手にしてからもう10年近い。
初めはカメラを片手に外へ出て行くだけでワクワクした。
 
よく、「好きな事は仕事にしないほうがいい」そんな意見を耳にするが、私も半分はそう思う。
写真を撮ることへの情熱や楽しみがなくなり、仕事が作業に変わった時、それはお金を稼ぐための単なる”手段”になる。
私自身がその事に気がつき、自分の表現を考え始めたのはここ一年ほどだ。
 
楽しむこと。  
その時に抱いた気持ちを精一杯に表すこと。
 
写真には無限大の表現がある。
 
彼女はそれらをずっと忘れていない。
 
最後、国立競技場を見下ろせる屋上で彼女にカメラを向けたとき、満面の笑顔で、ピョンっと飛び跳ねながらこちらにカメラを向け返した彼女は「写真が好きだ。」そんな気持ちに溢れているようだった。
 
好きなことを仕事にして生きていく。これを否定できないもう半分の事実が今、目の前にある。
 
ここ、THE FORUM sendagayaはそんな素直な生き方で溢れている。


お問合わせ
page top