PEOPLETHE FORUM 千駄ヶ谷の住人

THE FORUM 千駄ヶ谷ってどんなところ?使い心地は?
実際に施設を利用している多様な住人から
話を聞いてみました。

07 小永 敦子 Booth

楽しさを伝える

07 小永 敦子 Booth

楽しさを伝える

[プロフィール]
小永 敦子
Noralis 映像ディレクター


テレビゲームやアニメなど、世の中には楽しさだけを追求した商品で溢れている。
全てのものが脚光を浴びるにはその数はあまりにも多く、当然ながら表舞台に出てくることなく埋れてしまうものも多い。
 
今回、話を伺ったのはそういった数ある商品の一つ一つを“映像”という武器を使っていかにアピールするかを考え、商品に寄り添ってPVやCMを作り上げる映像クリエイター、小永 敦子さん。
 
ここ、THE FORUM sendagayaには知り合いが入っていたのをきっかけに自分も使うようになったという。
オリンピックがあと2年後に迫り、それが今から楽しみだという彼女はいつも仕事のパートナーと楽しそうに仕事の話をしているのが印象的だ。
 
自分自身のことをそんなに好奇心が旺盛なタイプではない、というが手をかけ始めたなら全力で楽しむ。仕事であってもプライベートであっても変わらないその姿勢。
 
映像業界も流れ着いた結果、全力で楽しんでいたからこその今がある。
そんな彼女に話を聞いた。


 

仕事の法則

オナガさんの仕事は少し特殊で、クライアントとの間に誰も挟まることはなく、ほぼワンストップで映像を制作する。
自分たちでコンテや原稿も書き、素材を預かり、編集やナレーション録り、納品データの作成まで自分たちだけで行う。
当然ながらもっと大きなプロダクトにはそれぞれに担当する人物がいて、全体を取り仕切るディレクターがいる。
もちろん、そのやり方が適している案件もあるが、彼女の考えるPRとは少し違う。
溢れかえる商品であっても、その一つには商品を作るときのコンセプトがあり、開発者の想いや、誰にどのようにして楽しんで欲しいのかという熱さもある。
その中で作る動画は誰の元に届けたくてどこで使うのか。
それらを吸い上げて、より良い魅せ方で観せる。
そして間に立つ人間がいないことで生まれるスピーディさも大切にしていることの一つ。伝達に数日かかってしまうことや、人の解釈が挟まることで違う意図で伝わってしまったりすることもあるが、それはちゃんと向き合っていれば起き得ない。
それらを大切にしている彼女にとってはワンストップということはとても大事なことだ。


 

流れてたどり着いた今

短大では生活科学科で勉強していた。具体的にどのような勉強をするのかイメージできない人も多いだろうが、PVやCMを作ることではない、ということはわかるだろう。
今の仕事についたことを“流れ”という彼女だが、案外人生とはそんなもので何と無く歩んできてたつもりが振り返ってみると一本道だったようにも思える。
 
元々、ポストプロダクション会社の事務をやっていた。そのうち自分でも何かをやってみたいと思うようになり、制作会社へ転職。当然ながら学校で学んだ知識はなく、ほぼゼロからのスタートだった。
 
当時できることといえば、フォトショップとイラストレーターが少しだけ触れ、テープのコピーはちょっとだけできる。そんな状態だったという。ただ、人手は全く足りておらず、イベント用に映像を入社3ヶ月後に一人で作れ、という流れになった。
打ち合わせもみんな忙しく、とりあえず社長と二人で行ってこい、というような状態。
そこからやっとの思いで作り上げる。そんな日々が続いた。
 
また撮影に関わる様々な業務も自分でやる必要があった。スタジオを抑えること、人員の手配など制作進行がやるであろう仕事も全て自分で行う。枠組みやセオリーというものがない環境だったからこそ伸び伸びと成長していくことができた。
 
未経験ではあったが、映像の仕事を学んでいくのが楽しかった。もし大きな会社に転職していたら、自分の決定権はなく、何かの一角とかで使われる。そうではなく転職した先の制作会社が小規模だったこともあり、かなり早い段階で自分の采配ができた。クライアントとの距離も近い。
 
そして何よりもお客様の熱量、商品への想い、それらを感じながら仕事をこなすのと、間に人を挟んで仕事をこなすのでは作る側の熱量も自然と高まっていく。
人と人、その関係で一緒につくるからこその達成感にいつしか病みつきになり、没頭して行った。



 

自分も楽しむ

映像を制作する上で、自分自身が楽しいということをとても大切にしている。
携わった商品のことであれば可能な限り知りたいし、それをどうしたら楽しいか、とにかく考えている。
仕事のパートナーに対しても「どうしたら楽しいかな?」と口癖のように漠然と聞いてしまう。
その質問の中にはどうやったら楽しく伝わるか、ということだけではなく、作っていてどうやったら自分たちのテンションが上がり楽しめるか、ということも含まれているという。
自分たちがテンションが上がって作ったならより一層手を加えたくなるし、その結果いいものが出来上がる。楽を求めるのではなく、楽しく。


 

独学と自信

映像の学校や美大を出たわけでもない。映像に特化した会社で経験を積み重ねてきたというようなバックボーンを持っているわけでもない。
それでもクリエイターとしての自信を保つことはそう簡単ではない。それは著者が実際に同じ境遇として現在様々な制作を行なっているからこそよくわかる。
独学で、なおかつ自分のやり方しか知らない。大手企業がどのようなフローで業務をこなしているのかも知らない。
まさに自分をどれだけ信じられるか、ということがキーになる。
彼女は自分自身を0-1の人間ではなく、1あるものを5にも10にも魅せる。それが得意な仕事だという。
特にゲーム会社の広告映像は使っているキャラクターも1~2クールでどんどん番組が変わっていくからとにかく時間勝負。1ヶ月、半年、ものによって違えどその期間内でどれだけいいものが作れるのかを求められる。
技術的に、魅せ方的に、自分よりももっとすごい人はたくさんいるだろうが、期限を意識してどれだけクライアントの要望に答えていけるのか、その点においては自分の仕事はかなり対応できている、という自信がある。
新しいタイトルが来たときでも、これまでのその企業との信頼関係やお互いの理解があるからこそ、魅せたいポイントやニュアンスを汲み取ることもできる。
そうして作った作品が世の中に出て、たくさんの人が目にしてその反応を感じ取る。
満足度、そして人と人という繋がりで作る彼女の仕事に対する自信。
自分を信じる、と書いて自信。技術だけではなく、その一つ一つを楽しいものだと思う自分の気持ちを信じること。
楽しさと仕上がりはイコールなのかもしれない。



 

あとがき

文中にも書いたが、私も専門学校や美大などを出ていない。
社会に出てからしばらくして転職した先が、とあるポータルサイトを運営する企業だった。営業として広告を売り、企画を立てる。そんな仕事の中で「自分のサイトで何ができて、何ができないのか。」を詳しく知る必要があった。
つまり必要に駆られてwebの勉強を始めたのがきっかけだった。
 
最初はHTML、CSS。次にPHP、そしてMySQLなど。気がついたら自分一人でサイトを作ることもできていたし、その中で必要な写真を取ることもできていた。
バナーを作り、コピーを考える。取材のアポを取り、インタビューもした。  
サイトデザイン、コーディング、データベース管理、コンテンツ制作、解析など。
大きな会社であればそれぞれに担当はいるが、小さな会社だったからこそ全てを行った。
 
それから5年ほどたった今、自分の仕事に自信を持っているのか?非常に難しいところだと思う。
 
揺るがない姿勢、取り組む熱量。これらは技術を習得するよりも難しいことだと思う。
その大切なことを今一度思い出させてくれた彼女の仕事は、きっとこれからも世の中の多くの人たちに“楽しい”を届け続けていくのだろう。


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